そこで
「奥さん、趣味は？」
と、聞かれた。
「趣味？はて？私の趣味って何…？」と頭が固まってしまった。
「犬でしょ」と夫に助け舟を出してもらったものの、「果たしてそれは趣味なのか…？家族だから趣味ではないのでは…でもアニマルコミュニケーションとか言ったら「は？」とかなるよな…」ともっとぐるぐるして、もっともごもごしてしまった。
まぁ、なんとなく「犬が好きで…」みたいな感じでごまかした。
どうして
「趣味は犬です！犬と話すことです！」
と言わなかったんだろう。
「歌も音楽も絵も好きです！」「外国語の勉強も好きです！」
とも言わなかったんだろう…
夜、ずっと考えてしまった。
歌は大好きだけど所詮学生バンドやカラオケ程度の話。
外国語ったって、英語も下手なのに過去に中国語やフランス語にも手を出してまったく初心者のまま終わっている。
絵だって習っていたことはあったし、好きな画家とかいるけれど、
訪れたお宅にはたくさんの絵画や彫刻品などのアートが飾られていて、一目で“美術に詳しい感”がただよっており、うかつに「絵は観るのも描くのも好きです」なんて言ったら恥をかくのでは、なんて思ってしまった。
その後すぐに、ご主人は美術評論の本まで執筆されており、奥様はコンクールで賞を取られるような画家っぷりであったことがわかった。
でも、なんかそういう自分の気持ち、くだらないなぁ〜、と今朝、思った。
“趣味は突き詰めなければいけない”なんてルールはない。
知識や経験などが中途半端でも、好きなものは好き、「趣味はそれら好きなものです！」って胸張って言いなよ、自分、って思ったのでした。
風太
「オレはおふくろの趣味ですか？」
