帰ってしばらくしたら、風太の具合がわるくなっていきました。
私はいつもならほとんど家にいるのに、あの日だけ、なんだか気分が軽くなり、積極的に外へ出て行ってしまったのです。
なぜだろう?残された時間は少なかったのに、なぜよりによって、出かけてしまったの?
そう思いました。
その4時間の間、風太と琴は引き継ぎ業務をしていたのでした。
「琴、オレはこれからこうなって、こうなって、こうなって、で、その時ママとパパはこうなるからな」(と、肉体を離れる前後のこと、悲しむ私たちのことなどを映像で見せる)
「琴、おまえにママを託すからな。たのむよ。甘えてばかりいないで、助けるんだぞ。」
「パパとママや喧嘩した時は、おまえがふたりの絆となるんだぞ。」
「こういう時はこうしたら、いいんだよ。こういう時は、こう。」
そんなふうに話し合ったようです。
私がいちゃあ、落ち着いて引き継ぎできないって(笑) だからあの4時間に。
私が家にいては
「あっ、風太、かわいー 写真撮ろっ あーん、こっち見てよ」
「こっちゃん、椅子乗る〜?」
とかなんだとか邪魔するでしょうからね。
もし具合わるくなったとしたら
「どうしたのっどうしたのっ」
ってパニクってうるさいですからね。
すべては計画されているのですね。
2011.3.27